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白い花
2008.12.24 Wednesday 18:25 | 小説
部屋の隅、読みもしない書物の積んである机の上に美しく白い花瓶が立ててあった。そこに一差ししてある百合は、その花瓶に劣らない美しさを、手渡された時から今まで保っている。
実は、長政が女中などに命じ、頃合いを見ては新しく摘んで来たものと取り替えさせているのだが、市は知ってか知らずか何も言わない。ただぼうっと、此の花を手渡してくれた時の長政の表情を思い浮かべては、うっとりと、己が愛されていることを噛み締めるのだ。
そうするといつの間にか、長政への愛情も育っていき、それは既に依存に近い形に変わりつつある。
それがもう幾年か続いていたのだ。流石に不審がるのではと女中や実情を知った老臣らは噂の様に囁き合うのだが、長政は市をこの世で最も清い存在だと信じ切っては、それを否定する。
今日もまた、市は替えられたばかりの百合を恍惚する様に眺めていた。
最近の長政は自分の兄と諍いを起こして、苦虫を噛み潰した、まさにその様な不快とも怒りとも取れぬ表情で日々を過ごしている。そうして高ぶった感情をつい市や周りの者へぶつけてしまう為に、市はこの頃は暫し一人で部屋へ隠り、百合を眺め入る日々であった。
交渉に駆け回る長政の身を案じはするものの、やはり自分の幻想の長政に逃げてしまう。
そんな市が異変に気付いたのは、随分と城内が慌ただしかったにも拘らず、突然、糸を切った様に静けさに包まれてからだった。
そうして直ぐに、女中の一人が慌ただしく部屋へ入って来て、説明もそこそこに市の腕を引いて無理に立ち上がらせた。
少し迷惑そうに彼女を見やった市は、その女の言葉を聞いて、元々青白い顔を更に青くさせる。
呟いた言葉は疑問文にもならず、雪の様に溶けて消えてしまっていた。
「今、なんて……」
「ですから、浅井家と同盟を結んでいた朝倉勢が逃走致しまして、昨夜から織田勢とは我が殿率いる軍勢のみで」
兄、様が
唇で形作る様に呟いた市は女中から腕を振り払い、部屋の壁にかけてある薙刀をとって走り出す。
お逃げくださいと叫ぶ声など意識にはない。
ただ、己の愛する夫が自分の忌まわしい兄に殺される、などということが許せる筈もないと、その思いに燃えていた。
「はやく、早く兄様を……!」
その黒い瞳が、憤怒の他、何処か狂気じみた喜びを僅かに見せているのは、やはり魔王である兄を、それでも愛しているからなのかも知れない。
この織田と言う血で結ばれた兄妹は、時折酷くむず痒い不器用さで互いを傷つけ、誤解を深めてゆく一方だった。
中々更新出来ないので、少しずつやろうかと思いまして、この形に。ちなみに、これは切な系の16題目、白い花の消化物1/?です。
書き終わってはいませんが、とにかくこのサイトが受験中に忘れ去られる事のない様にと思いまして、細切れで投下しようかと。
友人みんなが一段落が長いと言うもんで、なるたけ短くしてみました。とはいえ、一行が長い私はそれでも長いのかもしれませんが。
てか、今はこれじゃなく、利まつの方を書いてたり……。
史実の九歳差を取り入れた過去物にしたら、何だか利家がロリコンポリゴンみたいになってしまったと言う悲劇です。
しかも、話の主軸となっている利家の思考をまだ書けていないと言う不完全燃焼状態。
その前シリアスだったのに、急にまつと甘々し始めた所は流石前田夫婦と思いましたがね。でも、そうですよ。現段階じゃ単なる幼児好きの変態です。
ま、当時そんな思想はなく当然の事でしたが?
むしろ私は好きですし!?
でもね、九つも下のまつにキスしてしまう利って、私の中の利家像って、なんなんだろうと思った訳です。
で、まだまだ語りたい訳ですがここらで本編の方を。
見ての通りの長市にするつもりですが、どちらかと言えば長政←市に近い形になればなあと。最近は長政の方が→ばかりな気がしていたのでね。
んで、市の信長に対する思いも突き詰めて行ければなあとか。
てか長政が市に対して盲目過ぎたかなwww
恋は盲目、とはよく言ったもんだけど、ここまでくると、本当に恋が病気の様に思えてくるよね。我ながら。
恋煩いたあちっと違うし、まあ依存が一番近いのかなあ。とか思いつつ書いてました。
……てか、長政は萎れてしまった花をどうしたんだろう。
きっと捨てるには忍びない筈なんだよ。私のこれを書き始めた理由として確信に近いかも知れない、一つの理由として、市には白い花と同じ、清楚とか純真とかいうイメージを植え付けて大切にしている長政があるから。
その、イメージを被せている白百合の花をむざむざと庭に捨てるなんて出来ないと思う。それに、そんな事してたらいつ市に見つかるかわからないし、自分もその花の枯れていく姿を見るハメになるから。
と言う事は、毎回埋めてるのかなあ。
花を埋葬だなんて、少しロマンチックな感じもするかも知れないが、私には狂気の沙汰にしかとれない。
だって、市を重ねている花を、枯れかける度に埋葬すんだよ?
もし私のイメージ通り、長政が思い込みの激しい気性だとしたら、市を三日に一度くらいの割で埋葬するなんて、気が狂わんばかりなんじゃないかな。
それを、信長との諍い中にもやってる。
ま、家臣らにやらせりゃいいんだろうけど、でもあの長政が、妻の死を家臣らに任せていられる訳がない様に思えるし。精神が持つのかなあと思う。
けど、私みたいな性格だったら、別に心は痛まないだろうね。現実と頭の中を分けられると言うか、分けないとダメな人?
でも、自分は正義で敵と見なした物は皆悪だと思い込んでいるあの長政がそうとは思えないし……。
うーむ、どうなのかはっきり突き止めていければね、せめて私の中の無意識の像だけでもね。
そんな感じで、今日はうどんにローストチキンとサラダというまさかの組み合わせで夕食を食べる事になった東でした。
実は、長政が女中などに命じ、頃合いを見ては新しく摘んで来たものと取り替えさせているのだが、市は知ってか知らずか何も言わない。ただぼうっと、此の花を手渡してくれた時の長政の表情を思い浮かべては、うっとりと、己が愛されていることを噛み締めるのだ。
そうするといつの間にか、長政への愛情も育っていき、それは既に依存に近い形に変わりつつある。
それがもう幾年か続いていたのだ。流石に不審がるのではと女中や実情を知った老臣らは噂の様に囁き合うのだが、長政は市をこの世で最も清い存在だと信じ切っては、それを否定する。
今日もまた、市は替えられたばかりの百合を恍惚する様に眺めていた。
最近の長政は自分の兄と諍いを起こして、苦虫を噛み潰した、まさにその様な不快とも怒りとも取れぬ表情で日々を過ごしている。そうして高ぶった感情をつい市や周りの者へぶつけてしまう為に、市はこの頃は暫し一人で部屋へ隠り、百合を眺め入る日々であった。
交渉に駆け回る長政の身を案じはするものの、やはり自分の幻想の長政に逃げてしまう。
そんな市が異変に気付いたのは、随分と城内が慌ただしかったにも拘らず、突然、糸を切った様に静けさに包まれてからだった。
そうして直ぐに、女中の一人が慌ただしく部屋へ入って来て、説明もそこそこに市の腕を引いて無理に立ち上がらせた。
少し迷惑そうに彼女を見やった市は、その女の言葉を聞いて、元々青白い顔を更に青くさせる。
呟いた言葉は疑問文にもならず、雪の様に溶けて消えてしまっていた。
「今、なんて……」
「ですから、浅井家と同盟を結んでいた朝倉勢が逃走致しまして、昨夜から織田勢とは我が殿率いる軍勢のみで」
兄、様が
唇で形作る様に呟いた市は女中から腕を振り払い、部屋の壁にかけてある薙刀をとって走り出す。
お逃げくださいと叫ぶ声など意識にはない。
ただ、己の愛する夫が自分の忌まわしい兄に殺される、などということが許せる筈もないと、その思いに燃えていた。
「はやく、早く兄様を……!」
その黒い瞳が、憤怒の他、何処か狂気じみた喜びを僅かに見せているのは、やはり魔王である兄を、それでも愛しているからなのかも知れない。
この織田と言う血で結ばれた兄妹は、時折酷くむず痒い不器用さで互いを傷つけ、誤解を深めてゆく一方だった。
中々更新出来ないので、少しずつやろうかと思いまして、この形に。ちなみに、これは切な系の16題目、白い花の消化物1/?です。
書き終わってはいませんが、とにかくこのサイトが受験中に忘れ去られる事のない様にと思いまして、細切れで投下しようかと。
友人みんなが一段落が長いと言うもんで、なるたけ短くしてみました。とはいえ、一行が長い私はそれでも長いのかもしれませんが。
てか、今はこれじゃなく、利まつの方を書いてたり……。
史実の九歳差を取り入れた過去物にしたら、何だか利家が
しかも、話の主軸となっている利家の思考をまだ書けていないと言う不完全燃焼状態。
その前シリアスだったのに、急にまつと甘々し始めた所は流石前田夫婦と思いましたがね。でも、そうですよ。現段階じゃ単なる幼児好きの変態です。
ま、当時そんな思想はなく当然の事でしたが?
むしろ私は好きですし!?
でもね、九つも下のまつにキスしてしまう利って、私の中の利家像って、なんなんだろうと思った訳です。
で、まだまだ語りたい訳ですがここらで本編の方を。
見ての通りの長市にするつもりですが、どちらかと言えば長政←市に近い形になればなあと。最近は長政の方が→ばかりな気がしていたのでね。
んで、市の信長に対する思いも突き詰めて行ければなあとか。
てか長政が市に対して盲目過ぎたかなwww
恋は盲目、とはよく言ったもんだけど、ここまでくると、本当に恋が病気の様に思えてくるよね。我ながら。
恋煩いたあちっと違うし、まあ依存が一番近いのかなあ。とか思いつつ書いてました。
……てか、長政は萎れてしまった花をどうしたんだろう。
きっと捨てるには忍びない筈なんだよ。私のこれを書き始めた理由として確信に近いかも知れない、一つの理由として、市には白い花と同じ、清楚とか純真とかいうイメージを植え付けて大切にしている長政があるから。
その、イメージを被せている白百合の花をむざむざと庭に捨てるなんて出来ないと思う。それに、そんな事してたらいつ市に見つかるかわからないし、自分もその花の枯れていく姿を見るハメになるから。
と言う事は、毎回埋めてるのかなあ。
花を埋葬だなんて、少しロマンチックな感じもするかも知れないが、私には狂気の沙汰にしかとれない。
だって、市を重ねている花を、枯れかける度に埋葬すんだよ?
もし私のイメージ通り、長政が思い込みの激しい気性だとしたら、市を三日に一度くらいの割で埋葬するなんて、気が狂わんばかりなんじゃないかな。
それを、信長との諍い中にもやってる。
ま、家臣らにやらせりゃいいんだろうけど、でもあの長政が、妻の死を家臣らに任せていられる訳がない様に思えるし。精神が持つのかなあと思う。
けど、私みたいな性格だったら、別に心は痛まないだろうね。現実と頭の中を分けられると言うか、分けないとダメな人?
でも、自分は正義で敵と見なした物は皆悪だと思い込んでいるあの長政がそうとは思えないし……。
うーむ、どうなのかはっきり突き止めていければね、せめて私の中の無意識の像だけでもね。
そんな感じで、今日はうどんにローストチキンとサラダというまさかの組み合わせで夕食を食べる事になった東でした。
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