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黄口の恋
2010.06.20 Sunday 01:25 | 小説
本能寺を訪れて以来、常に胸の奥を焦がす思いが俄ごしらえほどにあり、不完全であまりに抽象な感情が余計に苛立たしくもあった。
その艶姿を思い出す度に腹の底が焼ける様に痛み、かと思えばその中に格別甘い、何か微睡みの様な心地よさを見出してしまう。それがいつなんどきか、己の都合など考えずに起きる為、いつか失態をおかさなければ良いのだがと妙に苛立ってしまうのだ。
今ですら、己の集中に欠けると稽古場を貸し切って素振りに打ち込んでいるというのに、黒く美しい蝶を思い出しては、僅かに劣情が沸き上がっては疼く。
思えば思う程に欲望ばかりが膨れ上がり、思わなければそれはそれで、安い欲望が強く滲み出てしまう。
どうしようもない感情が体内をのたうち回る。吐き出した息が熱いのは素振りのせいだと思いたかった。
刀を持ったまま、薄暗い稽古場から月明かり照らす外へと出た。
むわっと蒸した空気に小さく顔を顰めてから、月光の美しさに目を遊ばせる。濃紺の夜空が彼の奥方を彷彿とさせ、胸の中枢をやわり圧迫される心地がした。
「濃姫、殿」
つい呟いてしまった声が情けなく、その名の響きだけで気分が高揚する己が尚更に情けない。
草履も引っ掛けずに回廊から地面へと降りて、蒸しているせいか湿っている土草に白い刀を力のままに突き刺した。人を斬るより軽快な音がして、切られた草が音もなく地に落ちる。
「……、」
夜の暗い土草の色の中で、青白くさえある鋭い刀身の跳ね返す柔らかな光が、まるで彼女のようだ。
豪傑らの蠢く戦場を双銃のみで駆け回ると聞いて、始めはどんな恐ろしい女かと思っていたが、実際はただの美しく弱い女なのである。
その美しい女が、いまは亡き魔王を今だ愛してやまないのだ。
口惜しい。
突き刺した刀の柄を握り、更に強く押し込んで、しかし微動だにしない刀身にこの恋の行方を占われた気分になった。
わかっている、だなんて思えはしても納得は出来ない。
気分を落ち着けようと小十郎はその場で胡座を掻き、目を閉じてひと呼吸吐いた。ゆっくりと目を開け、上げた視線の先には般若がいる。
焼刃に映る顔は、酷く恐ろしい表情をしていた。
随分前に書き出しだけ書いといてぽいされてた小十→濃を書き上げてみた/
ちなみにグルーヴンドラゴンを読んでると状況よくが分かるかと。
小十郎は政宗にかかりっきりで恋とかろくにしてないといい。特に濃姫相手の場合は。
そんで、自分中でもんもんてして、あーうーあ゛ー!って爆発しちゃって濃姫に突撃しに行くといいよ!
と、久々なのでどうかなーと思ってたら思ってた以上に筆っつか指/が進みました
このペースならいろいろいける気が……する、かも。←
という訳で生存確認でした!
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