それは大したことない日常

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　連日の仕事詰めでつい溜め息が出てしまう。
　まとわりつく様に肩にぶら下がった疲れが取り憑いてしまったのではないか、そう疑ってしまう程に体は重い。靴を脱ぐのも億劫で、しかし息苦しさから抜け出そうとネクタイを緩める。それだけで少し楽になれた気がして、十津川は息を吐き出した。
「おかえりなさい、」
　リビングから顔を出した直子は、靴を履いたまま玄関に立っている夫を見てくすりと笑う。どうしたの？ と可笑しそうに笑う楽しそうな顔を見るだけで癒されてしまう自分に気付き、十津川は目を細めた。
「ただいま。今日はやっと事件解決したんだが、どうにも疲れが溜まってるみたいでね」
　靴を脱ぐのも面倒に感じるよ。そう言いながら足先だけで靴を脱ぎ、靴がばらけているのも気にせずに廊下に足を踏み入れる。安心からかもう一つ溜め息を吐いてネクタイを外した。
「お疲れ様。ね、お茶入れる？」
「ああ、頼むよ」
　自分より五つ年下である直子はガラスで出来たポットを取り出す。缶からスプーン二杯分程の茶葉を入れると、適温にまで温度を下げておいたお湯を入れる。たった五年の差ではあるが、十津川には酷く若々しく見えてしまう。
　そうとう疲れているんだな、私も。
　茶葉を蒸らす直子の楽し気な姿を見て、つい笑ってしまう口元を抑えると、突然どうしようもない衝動に駆られて、腰掛けたばかりのソファーを立った。
「直子」
「なあに、省三さん」
　甘い、とは言えないが、優しく柔らかい声色にどうしようもなく癒される。背後に立った十津川は、鼻歌まじりに時計を眺める直子の腹に手を回して柔らかく抱え込んだ。
　身長にあまり差がないため、どうしても柔らかい髪の毛に鼻を埋める形になる。
　すうっと鼻で息をして嗅覚で直子を堪能していると、困った様な声が戯れる様に文句を言った。
「省三さん！ ちょっと待ってて」
　彼女が振り向いたおかげで十津川の鼻は空中へと放り出された。直子は人差し指で優しく顔を押し返すと、ほら、座ってて、と促す。十津川は急に気恥ずかしくなって大人しく食卓の椅子に着くと、紅茶を入れる直子の姿を眺め、時折目を細めながら柔らかく笑った。

　彼らはまだまだ新婚である。



　　！！

や　っ　て　し　ま　っ　た　…　…　！

とうとう西村先生の作品にまで手をだしてしまった。
でもでも、この二人好きなんだよ。てか十津川警部かっけえ！
まだそれほどの量を読んでいる訳じゃないので、いろいろとあやふやですが、まえ漫画の方で読んだ感じ+原作みたいになりました。
私的にはとっつぁん（十津川警部）はもう少し背の高い方がいいなあと思ってます。せめて175で！
いや、単に私が長身好きなだけですが、直子さんの方が長身っぽいのでその逆にならないかなあと。
しっかしあの二人はまだ新婚だったんですね！
クフフ、そうなったら疲れて帰って来たとっつぁんが直子さんに甘えてもおかしくない！ むしろいい！ ということで書きました。
この後は勝手にいちゃついてればいいと思ってる東はもう末期ですか。そうですか。
いいもん！ 別にいいもんねっ。
熟年カップル好きで何が悪い！(何か意味違う気が
十津川警部って一度甘えたらそのまま土砂崩れしそうで、普段のいい大人とのギャップがめっちゃいい。もうね、とっつぁん万歳！

サーセン！ めっちゃ楽しかったです！

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