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Good morning

 久しぶりに、目覚めの良い朝である。
 大きな肩を持ち上げて上半身を起こすと、ランデル・オーランドはそこから見える橋と建物と地面に挟まれた小さな空に目を向けた。
 白く濁っている。想像していた青い空ではなかった。
 しかし、五感が目覚めていくと共に聞こえる橋仲間の声や猫の鳴き声は、いつもと変わらぬ温かさに包まれている。膝の上に乗ってきた一匹の三毛の頭を撫で、一度抱え上げて己の膝から退けてやると、のそのそ寝袋から抜け出す。
 青くはないが、酷く眩しい空に目をやって、夢中幾度となく自分を助ける顔が脳裏を掠め、目を細めた。
 先程まで見ていた夢の残像である。彼女が現れると、決まって、途中まで覚えていた恐怖と虚無と絶望感などは全て遠いどこかへ崩れ落ちていく。
 そうして、幸せな。そう、恐怖も絶望もない、安寧の内に自然と目覚めることが出来るのだ。
 煉瓦の柱に手をかけつつ、階段の上の仲間達を覗き込む。一人と目が合うと、ランデルは照れ臭そうに笑んで、それから頭を下げた。元々猫背の為か少し揺れただけにも見えたが、仲間達は手を振って返してくれる。
「おはよう、ございます」
「おう、今日もいい夢見だったみたいだな」
 頬が緩んでるぞ、と己の頬を摘んで見せる男に、ランデルの顔が僅かに染まる。痒くもない頬を掻きながら暫し逡巡して、どうしようもなく緩んだ瞳で笑った。
「へへ、」
 そんなランデルの顔に、男達は憎らしそうな溜め息を投げつける。気恥ずかしくて逸らした視線の端に、無造作に置かれた白いハンカチの様な物を見つけて、階段の下まで歩を進めた。
 そのまましゃがんで近づいてみると、その大きさは丸められたハンカチ程もない小さな白い花であった。並んだ二つの内の一朶は、今日の空に負けぬ位白く咲いていたが、もう一朶はまだ小さく蕾んでいる。
 温かく穏やかに流れてきた風に、二朶が揺れた。
 その様子がまるで少尉のようだと思うと、何故だかすごく安心を覚えるのだ。凛と咲く白い花と少女のような白い蕾み。その花の風に揺れる様は、まるで少尉が動く度に揺れる、綺麗に切りそろえられた後ろ髪のようであった。
 大きな手で、小さな花に触れてみる。己の大きな手ではより小さく見えるその花の花弁を撫でる。
 ランデルの太い指に翻弄されて揺れる姿が、まるでくすぐったがっているように見えて、アリスがそうなっている姿を想像して、思わず手を退いた。
 崩してしまわないように、ゆっくりである。
 もう一輪が咲いたら、申し訳ないけど一つ手折って少尉にあげよう。
 きっと少尉に似合う。うん、すごく。
 勢いをつけて立ち上がったランデルは、心持ち明るい表情で階段を駆け上る。
「行ってきます!」
 上機嫌に告げると、ランデルはついに走り出した。急ぐ必要もないのに、つい足が急いてしまうのだ。
 あっという間に見えなくなった巨きな男の、その一連の様子を見ていた男達は、そこに色恋の情などを見出して、ランデルの帰宅まで飽きることなく話しの種にする。
 数日後、花が一輪に減っていたことに気が付いたのは、いつも一番にランデルに気付く男だった。






相変わらずつけたい題名がないと、適当になってしまう東です。
ついに!とうとう!PSで小説を書いてみた!
基本、伍長と少尉はリバでも片思いでもとてもおいしいのですが、この後書きたいなあと思っているネタの前振りみたいのを書いてみました。
少尉のこと考えて幸せになって、少尉の顔で一喜一憂して、少尉が夢に出てくるだけで一日中が幸せ。そんな伍長はとても良いと思います!
でも伍長を可愛く書くのはすごく難しいと言うか。彼は常に不幸オーラに包まれてる気がするので、せめて!と思って書いたら以上の通りですよ。ヘっ!
つか、伍長身長が二メートル半あったんですね!マナガと同じだwww
マナマティを基準に身長差を算してみると、アリスは160前後ですね。ちょ、またもや身長差一メートルくらいあるwwwww
本当に早く五巻を買いたい。六巻を七巻を……!
ホントに南瓜鋏が足りないです。
みんなもっとパンプキンシザーズ読んでもっと創作すればいいのに!


自分でやれですね、さーせん

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